高脂血症
高脂血症
コレステロール値や中性脂肪値が高い高脂血症が動脈硬化の原因となり心臓や脳梗塞・高血圧症になることはよく知られています。しかし、一般的にはその治療は高血圧症の治療と比較しても適切には行われていないのではないかと考えられます。
現在新しい治療ガイドラインが日本動脈硬化学会より発表され、当院は悪玉コレステロール(LDL-C)を治療目標とする考えを取り入れて治療の目安としております。しかし、正常悪玉コレステロール値でも高度に進行した動脈硬化となってしまっている患者様は珍しくありません。
悪玉コレステロールの中に含まれている動脈硬化に特に関連が強いと考えられる因子が日常の保険診療では測定出来ないことや、総コレステロール値、善玉コレステロール値、悪玉コレステロール値の3つを同時に測定することが禁じられている現状では数値だけで治療方針を決定すること自体に無理があります。
現在ではコレステロールが血管壁に取り込まれて動脈硬化となっていく原因は動脈壁の一番表層に並んでいる細胞(血管内皮細胞)の機能が障害されるためという考えが主流になっています。
当院での治療
当院では運動負荷心電図・超音波検査などによる心臓の血管の動脈硬化の程度の推定と頚動脈エコーによる血管壁の直接の観察に基づいてコレステロールに対する治療とともに動脈硬化に対する治療方針を決めています。
悪玉コレステロールを下げる治療を行うことはもちろん、先に述べたように真の原因は血管壁の機能障害であるため、その機能障害の改善が期待できる薬を併用するとともに運動療法を必ず行っていただくよう指導させて頂いています。運動療法は、コレステロールを下げる効果とは別に血管壁に直接作用してその機能を改善させる効果があるからです。
高脂血症の治療は血管壁の状態の直接の観察からスタートすべきであり、コレステロールの数値は悪玉コレステロールを下げる際の参考値であり、血管壁の機能の改善の努力を必ず併行して行っていくことを怠ってはいけません。
コレストロール値をチェックしましょう
日本人の死因の上位を占める心筋梗塞や脳梗塞は、動脈硬化が原因で起こります。
動脈硬化の予防には、コレステロールの管理が重要ですが、コレステロールの管理とは、一体どのようなことを言うのでしょうか?健康診断では必ず結果が表示される「コレステロール値」は、どのような見方をすればいいでしょうか?
2008年4月の健康診断から、コレステロールの結果の表記が変わったのにお気づきでしょうか?それまでは「総コレステロール」と書いてありましたが、現在は「HDLコレステロール」「LDLコレステロール」と書いてあると思います。これらは、血中の脂質の一種である「コレステロール」そのものではなく、コレステロールに対して、それぞれ逆の働きをする物質です。
HDLコレステロールは、「善玉」と呼ばれ、血中コレステロールの余剰分を回収してくれる働きがあります。一方で、LDLコレステロールは「悪玉」と呼ばれ、コレステロールを運んでくる働きがあります。どちらも体には必要で、健康な体内では「善玉」と「悪玉」の量のバランスが取れているため、問題はありません。ただし、どちらかが多過ぎたり少なすぎたりしてバランスが崩れると、血中のコレステロールが増えすぎて、血管の中に「プラーク」という塊を作ってしまいます。これが、動脈硬化の原因となるのです。
さてそこで、この「善玉」と「悪玉」のバランスの善し悪しを評価する方法ですが、「悪玉」を「善玉」で割った数が、2.0より大きいか小さいか、が基準になります。つまり、LDLコレステロール値がHDLコレステロール値の2倍以上だと、危険信号ということです。

LDLコレステロール量が非常に多ければ、それだけ悪玉比率も高くなりやすいですが、量が他の人と比べて標準でも、他方のHDLコレステロールが少なすぎると、同じように悪玉比率が高くなってしまいます。そうすると、余剰コレステロールが回収されにくくなり、プラークの原因になります。コレステロールは単に「量」ではなく、その「比率」で、健康状態をチェックする必要があるということです。
色々と説明しましたが、要するに「悪玉÷善玉=2」を基準に、自分の診断結果がどのように変化しているかを確認すればいいということです。その変化を目安にして、生活習慣の見直しや医師の指導を受けるかどうかを検討し、動脈硬化が予防できれば、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らすことができます。
皆さんも過去の健康診断結果で、ぜひチェックしてみてください。
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